バイナリーオプションでは、年間利益が合計20万円を超えると確定申告をする必要があります。
その際に利益額に応じて所得税や住民税などの税金を納めなければなりませんが、その際に経費を計上することで税負担を減らすことができます。
ただ「何が確定申告で経費にできるのか」「いくら税金が抑えられるのか」などをしっかりと理解している人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回はバイナリーオプションの経費について、わかりやすく解説していきます。
・ バイナリーオプションの経費になるものが知りたい
・ 経費を計上する際の注意点が知りたい
・ いくら税金を抑えられるか知りたい
上記のような疑問をお持ちの方にぴったりな内容となっています。
バイナリーオプション取引をしている方は等しく確定申告の対象となる可能性がありますので、一度確認しておくことをおすすめします。
・ 通信費や勉強費、セミナー代などが計上できる
・ 客観的に経費を証明できるものを用意しておく
・ 経費を使うのと使わないのとでは、かなり税負担額に差が出る
バイナリーオプションで20万円以上の利益は申告
バイナリーオプションで取引を行い、年間20万円以上の利益を出すと税金が発生します。
対象者は確定申告を行い、税金額を正しく計算して納税しなければなりません。
なお以下に当てはまる方は、申告の必要はなくなります。
・ 年間の利益が20万円以下
・ 20万円以上でも、損失と合算した金額が20万円以下
もし対象となった場合、バイナリーオプションで税金を以下の課税方式のどちらかで計算することになります。
・ 申告分離課税
・ 総合課税
国内バイナリーオプション業者で利益を出した場合は「申告分離課税」に分類され、税率は一律で20.315%となります。
海外バイナリーオプション取引所で利益を出した際には「総合課税」に分類され、金額に応じて税率は5%から45%まで推移していきます。
総合課税では、給与所得とバイナリーオプションでの利益を合算した金額で計算されます。
目安として課税所得が695万円以上になると税率23%になるので、国内バイナリーオプションの方が税率が低くなります。
ただ695万円以下なら総合課税の方が割安になるという特徴を持っています。
経費の仕組み
バイナリーオプションの利益額にそのまま税金がかかるわけではありません。
発生した利益から経費を引いた金額が「課税所得」となり、この課税所得に税率をかけて納める税金額が算出されます。
そのため経費が多ければ課税所得が減らせるので節税ができる、という仕組みになっています。
経費と聞くと自営業やフリーランスなどで使われているイメージが強く、会社員や学生の方は使えないという印象を持っている人も少なくありません。
実はサラリーマンなども自営業者と同様に、バイナリーオプションでかかった経費を記載して確定申告を行えますよ。
そのため後述する経費が発生していれば、誰でも経費を使って節税することが可能なのです。
バイナリーオプションの経費の種類
バイナリーオプションの経費にできる種類を、以下の13項目に分けて紹介していきます。
・ 購入費(パソコン、電子機器自体、マウス、キーボード、机や椅子)
・ 通信費(取引で使う通信、回線費)
・ 電気代(パソコン起動、充電用)
・ 家賃
・ 交際費(バイナリーオプションに関する打ち合わせ代)
・ 交通費(電車、バス、タクシー代)
・ 宿泊費
・ 勉強代(セミナー参加費、オンラインサロン参加費など)
・ テキスト費(本)
・ ツール導入費(サインツール、取引ツール)
・ 消耗品(筆記用具など)
・ 外注費(バックテスト、開発、営業のための費用)
経費の種類は幅広く、一度で覚え切れないかもしれません。
今回はなんとなく理解していただき、申告前にこちらのページで確認しながら分類できるかどうかの目安にしてみてはいかがでしょうか。
ただ経費については市区町村によって分類が異なることもあるため、詳しくはお近くの税務署などで確認した上で正しく申告することを心がけてください。
購入費
バイナリーオプションで使う機器の購入費を経費として計上できます。
例えば、以下の購入費用が該当します。
・ バイナリーオプション取引をするパソコン
・ インターネット環境を整備するWi-Fiのルーター
・ 電子機器
・ マウス、キーボード
他にも、パソコンを置いて取引をする机や椅子なども含まれますよ。
ただ1回の購入金額が10万円以上になると、あらかじめ決められた耐久年数で割った金額を計上する「減価償却」という制度を採用しなければなりません。
減価償却については後述しています。
・ 10万円以下:そのまま計上可能
・ 10万円以上:「購入金額 ÷ 耐久年数」の金額を1年ずつ計上する
通信費
バイナリーオプション取引で使う通信費、光回線の回線費用なども経費に含まれます。
ただ通信費はバイナリーオプション以外に日常生活でも使うため、全額計上することは難しいでしょう。
そのため、使用した時間分に応じて計上することになります。
例えばバイナリーオプションに1日2時間費やしたとすると、1ヵ月の通信費は12分の1だけ計上することになりますよ。
常識の範囲内で計上するように心がけてくださいね。
電気代
通信費に加え、取引する際に使う電気代も経費に加えられます。
パソコン起動や充電に必要な電気代など幅広く対象となっています。
ただこちらも全額計上できるわけではなく、バイナリーオプションに使った分だけしか計上できないので注意しておきましょう。
家賃
バイナリーオプションを取引する場所として家賃も計上することが可能です。
自宅以外に、バイナリーオプション取引用の事務所を借りていた場合はその家賃も計上できます。
ただ家賃も全額ではなく、どのくらいの範囲でバイナリーオプション取引をしているかを計算することになります。
例えば6畳の部屋のうち1畳分を使ってバイナリーオプション取引を行っていた場合は、家賃の6分の1を計上することになります。
家賃は特に生活費と混同しやすくなってしまうので、使った分だけ計上するように注意しておきましょう。
交際費
バイナリーオプションに関する打ち合わせを行う方もいらっしゃるでしょう。
そういった場合はバイナリーオプションに関する打ち合わせ代を交際費として計上することができます。
打ち合わせの際にカフェを使った場合は、カフェ内での飲食料代なども含まれますよ。
もちろんバイナリーオプションに関する打ち合わせに限定されているので、単なる交際費は計上できません。
交通費
打ち合わせに出向く交通費なども計上できます。
打ち合わせに行くための電車代やバス代、タクシー代、ガソリン代などが該当します。
出張であれば飛行機代なども計上可能ですよ。
この交通費はサラリーマンの方も出張費用として会社に申請することもあるので、イメージしやすいのではないでしょうか。
宿泊費
バイナリーオプションに関する打ち合わせや勉強会で遠方に出向いていた場合の宿泊費なども該当します。
交通費と一緒に計上することも多いので、イメージしやすいかと思います。
勉強代
バイナリーオプション取引や投資の勉強を行う際のセミナーへの参加費も経費として計上ができます。
他にも、バイナリーオプションに関わるコンサル料やオンラインサロンの参加費なども該当します。
テキスト費
勉強時に本や電子データを購入してバイナリーオプションの知識を得る人も少なくありません。
そういったテキスト費用も計上することが可能です。
経費として計上できるため、テキストを購入するハードルも下げやすいのではないでしょうか?
ツール導入費用
取引するために購入したサインツールや自動売買ツールの代金も経費として計上できます。
ハイローオーストラリアなどでは自動売買ツールの使用が禁止されているので、サインツールの代金を計上する人の方が多いかもしれません。
ただツールに関しては、しっかりと検討しないと詐欺ツールをつかまされてしまうかもしれません。
ツールに関して詳しくはこちらの記事で紹介しています。
ツールについて理解し、導入するかどうか慎重に検討することをおすすめします。
消耗品
バイナリーオプション取引を行う際にメモするノートや筆記用具なども経費に計上できます。
バイナリーオプション勉強専用のノートなどを使っている際は、消耗品として経費に含めておきましょう。
外注費
バイナリーオプションの戦略を検討するシミュレーション費用やツール販売のための外注費も経費として計上することができます。
業者にバックテストや開発してもらったり、営業してもらったりした費用なども該当します。
初心者の場合、外注費は発生しにくいものの以下のようなケースでは経費に活用することができます。
・ 有効な戦略かどうか、バックテストしてほしい
・ 自分の作ったツールを販売したい
経費計上時の注意点
バイナリーオプションで経費を計上する際の注意点として、主に以下の4つが挙げられます。
・ 直接関係していないと経費計上できない
・ パソコン関連は減価償却が必要
・ 経費の繰り越しは不可
・ 領収書やメモは積極的に残す
それぞれ確認し、申告前にはそれぞれ確認しておきましょう。
直接関係していないと計上できない
バイナリーオプション取引に直接関係していないと、経費として計上することはできません。
明確に関連性が説明できなかったり、普段の生活費であったりすると認められないのです。
「バイナリーオプションの売り上げを伸ばすのに必要な費用か?」を問いかけながら計上するようにしましょう。
パソコン関連は減価償却が必要
1回の購入金額が10万円以上になりやすいパソコン関連の購入費用は、別に分けて経費を計上します。
具体的には「購入金額 ÷ 耐久年数」で算出した金額を1年ごとに計上する「減価償却」を行わなければなりません。
パソコンは4年〜5年、など商品ごとにあらかじめ年数が決められています。
るので計算してからそのままの金額を計上せず割って1年ごとに計上するようにしましょう。
なお自営業者の方で「青色申告」と呼ばれる特別な申告方法を選んでいた場合、年間300万円までなら減価償却を行わずに一気に計上することも可能です。
経費の繰り越しは不可
経費を翌年以降に繰り越すことができません。
例えば利益が50万円、経費が100万円であった場合は合算すると「マイナス50万円」となり、税金は発生しません。
このマイナス50万円を翌年以降に繰り越して、別の利益に当てることができないので注意をしておきましょう。
領収書はメモは積極的に残す
バイナリーオプションの経費に計上する際は、領収書やメモは積極的に残すようにしておきましょう。
客観的にバイナリーオプションに必要な経費であると証明できなければ、経費として主張するのは難しくなってしまいます。
そのため領収書や日付を書いたメモなど細かく記録に残しておくことが大切です。
客観的な材料を揃える意識を持って、経費を集めるようにしましょう。
いくら税金を抑えられる?
経費を計上することで、いくら金額が抑えられるかを確認しておきましょう。
例えば以下のようなケースについて考えていきます。
・ 年収300万円(給与所得控除は98万円)
・ バイナリーオプションの利益は100万円
・ 消耗品代(筆記用具やノートなど1万円)
・ 交際費(カフェ代などを合計して10万円)
・ 勉強代(3,000円/回のセミナーに15回参加、オンラインサロン参加費5,000円/月の1年分)
・ 交通費(セミナー参加のための電車代、出張代など合計して5万円)
・ 宿泊費(3万円)
・ ツール購入代(5万円)
・ バイナリーオプション用のパソコン代9万円
上記のケースで、経費を計上した場合としなかった場合の税金額はそれぞれ以下の通りです。
計上しない場合 | 計上する場合 | |
所得 | 202万円(年収300万円 – 給与所得控除98万円) + 100万円 = 302万円 | |
課税所得 | 302万円 | 302万円 – 経費43万5,000円 = 258万5,000円 |
税金額 | 302万円 × 10% = 30万2,000円 | 258万5,000円 × 10% = 25万8,500円 |
控除額 | 9万7,500円 | |
税金額 | 20万4,500円 | 16万10500円 |
計上することで約5万円の節税に成功しています。
今回は電気代、通信費、家賃など計上していないので、正しく計算すればもっと節税することが可能でしょう。
まとめ
今回紹介してきたようにバイナリーオプションの経費を使えば、有効な節税方法になります。
各種電子機器の購入費用やバイナリーオプションに関わる勉強代なども幅広く計上できるので、前述したような経費がないかどうか確認しておくことをおすすめします。
もし経費があれば領収書やレシート、なければノートに記載するようにして、客観的に経費を証明できるようにしておきましょう。
確定申告は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から作成することになります。
経費の計算ができれば、毎年翌2月~3月の確定申告〆切に向けて準備も順次進めていきましょう。